ウツギ

この時季、あちらこちらで見る木です。生命力が旺盛で、下刈りの時にきられても、また力強く芽を出して花をいっぱい咲かせます。
20140602ウツギ (1)
20140602ウツギ (2)

木の材質は固く、腐れにくく、昔から釘の材料として使われてきました。美術館では掛軸や巻物を入れる箱に使われているのでおなじみです。
20140602ウツギ (4)
20140602ウツギ (3)木釘の場所を丸で囲みました。

この軸箱はちょうど100年ぐらいたったものです。長二が作った箱のように、継ぎ目はピクリともゆるんでいません。

三遊亭圓朝作 名人長二 より
「・・・幾ら使っても百年も二百年も毀(こわ)れずに元のまんまで居るというのァ仕事に精神(たましい)を入れてするからの事だ、精神を入れるというのは外じゃァねえ、釘の削り塩梅(あんばい)から板の拵(あつら)え工合と釘の打ち様にあるんだ、それだから釘一本他人に削らせちゃァ自分の精神が入らねえ・・・」

底本「圓朝全集 巻の九」近代文芸資料複刻叢書、世界文庫
1964(昭和39)年2月10日発行 青空文庫より転載

 

 

もりひこ

ツバメの巣ができました

現在当館は、6月7日から始まる「信仰と美術Ⅱ 仏と神のすがた」展に向けて展示替え作業を行っています。

その一方で、美術館のある場所でツバメの夫婦がせっせと巣作りをしており、こちらのほうはもう数日前に完成しました。
20140601「ツバメの巣ができました」
↑巣から頭だけ出しているツバメ。お疲れ様でした!
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ヤマボウシ

普段はまわりの木々に交じって目立ちませんが、花のように見える白い総包片(ソウホウヘン)が開くこの時期は、くっきりと居場所を知らせてくれます。高さが10メートル近くなる品種ですから、美術館の入り口では大きなモミジのその上から顔をのぞかせています。
20140601撮影ヤマボウシ (20)
緑の中にひらく白い模様がヤマボウシです。20140601撮影ヤマボウシ (1)

「ヤマボウシ」漢字で書くと「山法師」。
花の姿をまるい頭と白頭巾に見立てたのだとか。
言われてみると、山法師の群れのようにも見えてきました。

20140601撮影ヤマボウシ (2)

深い緑の山間に、広がる白片が目に鮮やかです。

 

 

もりひこ

ドクダミ

あちらこちらの日陰になるところや、ちょっとした隙間に群生しています。
20140531ドクダミ (1)

「ドクダミ」の名称は濁点が多いうえ、「ドク」という音もあるのでこの清楚なイメージに結び付きにくいものです。
20140531ドクダミ (3)
20140531ドクダミ (2)

見た目の美しさよりも、昔の人たちにとっては体を整えてくれるその役割が大切だったのですね。「毒矯み」(ドクダミ)、「毒溜」(ドクダメ)、「十薬」(ジュウヤク)とも呼ばれて古くから人の健康に深くからかかわってきました。いまでも薬用として用いられているほか、健康飲料ドクダミ茶や、薬膳のレシピなどに重用されています。

 

追伸
撮影をしていると、テントウムシがやってきました。
20140531ドクダミ
ナナホシテントウ。作物に被害を与えるアブラムシとかハダニを食べるので、農作物や観葉植物を守る益虫として分類されています。
遊歩道を守るたいせつな一員です。

 

もりひこ

アツバキミガヨラン

バラ園の入り口で、アツバキミガヨランが咲きはじめました。

20140529アツバキミガヨラン (2)

この花の名前を漢字で書くと「厚葉君が代蘭」。明治時代に日本にやってきました。
一年じゅう青々とした肉厚の葉を茂らせ、長いあいだ花を咲かせる様子からこのようなおめでたい名前になったそうです。

20140529アツバキミガヨラン (1)

背の高い花茎いっぱいに釣り鐘状の白花をつける姿がほんとうにあでやかです。

20140529アツバキミガヨラン (3)

 

もりひこ

大野村⇔宮内村

海の見える杜美術館から広島方面に向かう途中に村境の石柱がありました。

20140528大野村⇔宮内村  (1)大野 宮内 村境

当館は旧大野村にあるのですが、大野村が宮内村と境を接していたのはこの場所であったのだと、静かに教えてくれました。

この石柱がある道は大昔からの由緒があり、江戸時代には五街道のひとつ西国街道として重要な役割を果たしていました。その時に定められた二間半(約4.5m)の道幅そのままに現在に至っています。そしてこの石柱の立つ場所は、紀元600年ごろの伝説がある大野四郎由来の四郎峠にあります。現在「エコセンターはつかいち」がある場所です。

日ごろ通いなれた道でしたが、この石柱にいざなわれて、清盛が、秀吉が、そして幕末維新の志士たちが駆けたであろう光景が日常の風景に重なってみえたような気がしました。

20140528大野村⇔宮内村  (2)

いつの時代に建てられたのか気になりますが、この石柱には日付の記述がありません。下限ははっきりしていて、大野村が大野町になる1950年(昭和25年)4月1日より前です。上限は両村の呼び名が江戸よりずっと前からあったのではっきりしませんが、風化の度合いなどからみて、明治22年の市町村施行時に村境を確定のために設けられたものでしょうか。皆さんはどうお考えになりますか。

街道が好きです - 里程標
街道が好きです - 道路開通記念碑

街道が好きです - 道標(畑口橋交差点)
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もりひこ

バラ園だより

クイーン・エリザベス
20140526バラ園だより (4)
花が空に向かって凛と咲いています。
20140526バラ園だより (5)
1954年にエリザベス女王に捧げられ、そして1979年、World Federation of Rose Society(世界バラ会連合)の殿堂に入った栄誉あるバラです

ポールズ・ヒマラヤン・ムスク
20140526バラ園だより (1)
大きな木の、はるか上まで茂っています。
20140526バラ園だより (2)
桜に似た柔らかなピンクの花です。

バレリーナ
20140526バラ園だより (6)
その名の通り、チュチュ(バレエで着用されるスカート状の衣装)をパッと広げて舞う姿のように華やかです。
20140526バラ園だより (7)
たくさんの花が枝を覆っています。

 

もりひこ

広島の針は日本一

今日から展示替えですが、重宝している虫ピンについてのむかしばなしです。

今をさかのぼること20年ぐらい前のこと
作品を安全に展示するのに市販の虫ピンを使っていました。
虫ピンは細長くて、少しでも硬いところに打ち付けると、クニャって曲がってしまいます。
曲がってしまえばもう使えません。もったいないやら、いらいらするやら。

板に打ち付けても曲がらない、強い虫ピンがほしい。
抜いた後でも穴が目立たない、細い虫ピンがほしい。
物をしっかり固定する、大きい頭の虫ピンがほしい。
サビが残らない、材質がいい。
etc…
こんな願いをかなえてくれる虫ピンはないだろうか・・・・
そうだ、広島は日本一の針の生産地。なんとかなるに違いない。
そんな願いをかなえてくれる針工場を訪ね歩き、
ついに当館オリジナルの虫ピンができたのでした。
20140526 広島は針の日本一 (2)
おお! すべての願いをかなえてくれる虫ピン。 長さ15ミリ。太さ0.6ミリ。頭の大きさ2ミリ。
20140526 広島は針の日本一 (4)

上がよくある虫ピン、下が特注の虫ピン。 鉛筆と比べるとこんな感じ
20140526 広島は針の日本一 (3)
これは便利。
ピン打機で打ち込むこともできるので、
壁の布張や、拡大画像の貼付けにも便利に使っています。
20140428-4
『花と宴』展(2014)の壁

うみひこ