「香水瓶の至宝 ~祈りとメッセージ~」展
2018年3月17日(土)から 開催です。
海の見える杜美術館の香水瓶コレクションから、選りすぐりの名品を展観いたします。香りと人類の歩んできた重厚かつきらびやかな歴史をご覧ください。
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うみひこ
「香水瓶の至宝 ~祈りとメッセージ~」展
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歌川広重の浮世絵の連作『東海道五十三次』は、制作当時からとても人気があり、世界的に有名ないわゆる保永堂版をはじめとして、たくさんのシリーズが作られました。その種類は30種類を超え、中にはいまだに全容が確認できない『東海道五十三次』もあります。三井高陽氏が「広重の絵封筒」(『浮世絵芸術』27号、1970年11月)のなかで、五十三次揃っていたかどうかわかりませんが、と断りつつ示された「五十三次 吉原」封筒もその一つでした。
「五十三次 吉原」
三井高陽「広重の絵封筒」『浮世絵芸術』27号、1970年11月より転載
当館に、歌川広重の東海道五十三次の封筒の貼交ぜ帖が所蔵されていて、この中に、三井高陽氏が示された「五十三次 吉原」が含まれていました。
貼交ぜ帖に添付されている封筒は順に次の通りです。(文末画像参照)
東海道五十三次封筒 一立齋 廣重筆
日本橋
品川
川崎
神奈川
程か谷
戸塚
藤澤
五十三次 封筒 立斎筆
平塚
大礒
小田原
箱根
三嶋
沼津
原
東海道五十三次 続画封筒 一立斎中はし□ぐ 丸喜軒□
吉原
蒲原
中居
興津
江尻
府中
鞠子
五十三次封筒 立斎筆
岡部
藤枝
嶋田
金谷
日阪
懸川
袋井
五十三次 封筒 立斎筆
見付
浜松
舞阪
荒井
白須賀
二川
吉田
五十三次続画封筒 廣重筆
御油
赤坂
藤川
岡崎
池鯉鮒
鳴海
宮
桑名
四日市
石薬師
庄野
立斎筆 五十三次封筒 東海道
亀山
関
坂の下
土山
石部
水口
草津
大津
京
淀川
これで広重の東海道五十三次封筒の全容が明らかになったかと期待したのですが、東海道を描いた封筒が、はじめ7枚ずつなのに、最後は11枚、10枚と添付されていることや、水口宿、石部宿の順序が逆になっていることが気になります。この貼交ぜ帖は発行された当時の状況を正しく反映していない可能性があることを慎重に考慮しなくてはならないようです。
しかし、揃っているのかわからないとされていた歌川広重の東海道五十三次封筒について、いろいろなことが明らかになりました。東海道五十三次の封筒は間違いなく発行されていたという事実。表題と広重の落款が入った封筒を入れるための包みと思われるものが少なくとも7種類はあること。その包みの1枚に丸喜軒と記されていること。各地の名産名勝を縦長の画面に配していること。色彩を淡くおさえ、中央には宛名を書くための空間を配慮するほか、随所に封筒ならではの工夫を凝らしたデザインになっていること。そして落款の書体から制作が広重晩年の1853年頃と推定されることなどです。
以上のことから、歌川広重の東海道五十三次封筒は、1853年頃、丸喜軒という版元で、東海道の53宿と起点の日本橋、終点の京、そして淀川を加えた56枚が企画され、8枚セットにして7回(※1)に分けて順次販売、あるいは配布された(※2)のではないかと考えてみました。
さち
青木隆幸
※1 ほかに封筒の包みがもう一つ存在していた場合は7枚セットにして8回になる
※2 先の「広重の絵封筒」のなかで、筆者の先祖の話として、財閥の三井家では昔、東京は榛原(はいばら)、京都は金光堂(きんかどう)というところで封筒を特別に誂えたことが記されており、私製の配布物の可能性を排除できない
海の見える杜美術館蔵 歌川広重 東海道五十三次封筒
東京・立川にある国文学研究資料館で「伊勢物語のかがやき-鉄心斎文庫の世界-」展が開催されています。鉄心斎文庫というのは、三和テッキ株式会社社長であった故芦澤新二氏が、夫人の美佐子氏とともに40年をかけて収集した、世界に類をみない『伊勢物語』のコレクションです。去年国文学研究資料館に1000点を超えるこのコレクションが寄贈され、そのお披露目を兼ねた展覧会です。本コレクションの研究グループに参加させていただいているご縁で、オープニングと内覧会にお邪魔してきました。
古典というと、それを描いた絵画も含めて、なんだかとっつきにくく思えるものですが、この展覧会をご覧になれば、『伊勢物語』と、この物語を平安時代以来様々な形で愛してきた昔の人々を、もっと身近に感じることができるのではないでしょうか。
今回の展示では、鉄心斎文庫の中から優品が選ばれ、鎌倉時代の写本(手で写した本)から、江戸時代の版本(版木から印刷した本)に至るまで、様々な形態の『伊勢物語』の書籍と、屏風や絵巻などの絵画作品があわせて80点ほど展示されています。『伊勢物語』は平安時代・10世紀に成立して以来、物語として楽しまれる一方で、鎌倉時代以降は熱心な研究の対象となり、多種多様な注釈書も作られました。室町時代には絵巻、絵本、屏風などの絵画作例が増え、貴族だけでなく、武士や新興の富裕な町人たちが王朝の恋愛物語に夢中になった様子がうかがえます。江戸時代になると、版本という複製メディアの登場により、『伊勢物語』はあっという間に庶民達の間で大人気となり、ベストセラーになります。「むかし男」ならぬ「おかし男」が登場する『仁勢物語』というパロディ作品や、あるいは西川祐信などの人気浮世絵師が平安貴族の業平やその恋人たちを当世風の江戸の美男美女の姿に描いた本が刊行されるなど、江戸の人たちが気楽に、自由に、古典を自分たちの娯楽にしてしまう様子は大変愉快で、興味が尽きません。江戸の人たちのように、気楽に古典文学に親しみたいものだなあと思った次第です。
国文学研究資料館は、その名のとおり日本の文学に関わる資料収集、調査研究を行っている施設で、貴重書を含む国文学に関連する膨大な資料を閲覧できます(ちなみにお隣には南極の氷や隕石に触れる国立極地研究所南極・北極科学館があり、こちらもおすすめです)。近くには昭和記念公園などもあり、秋の行楽にお時間があればぜひお出かけください。
「伊勢物語のかがやき-鉄心斎文庫の世界-」
会場:国文学研究資料館 1階 展示室
開催日:2017年10月11日(水)〜12月16日(土)
休室日:日曜日・祝日、展示室整備日(11月22日)
開室時間:午前10時〜午後4時30分(入場は午後4時まで)
入場無料
http://www.nijl.ac.jp/pages/event/exhibition/2017/isemonogatari.html
谷川ゆき
リニューアルオープン記念展示「香水瓶の至宝 ~祈りとメッセージ~」開催に向けて、香水瓶の撮影をしました。
カメラマンは、エス・アンド・ティフォトの尾見 重治さんと大塚 敏幸さんです。
うみひこ もカメラマンとして美術品撮影をするのですが、立体物の経験は浅いので、香水瓶の撮影はいつもこのお二人にお願いをしています。すごくきれいに撮影してくれます。これから制作する図録『香水瓶の至宝』に写真が掲載されますのでご期待ください!(うみひこが撮影した香水瓶も少しだけ入ってます)
うみひこ
リニューアルオープン記念 企画展覧会情報
名 称:香水瓶の至宝 ~祈りとメッセージ~
期 間:2018年3月17日(土) ~ 7月8日(日)
休 館 日:月曜日 ※4/30(月祝)は開館
開館時間:10:00-17:00 (入館は16:30まで)
入 館 料:一般 \1,000 高•大学生 \500(要学生証提示) 中学生以下無料
※障がい者手帳などをお持ちの方は半額。介添えの方は1名無料。
20名以上の団体は各200円引き
ヨモギの花が咲いています
たくさん花をつけているのですが
あまり目立たないようです
もりひこ
赤みを増したアジサイ(紫陽花)の装飾花
妖艶な彩に思わず見返りました
もりひこ
スズメノヒエの花が咲いています
黄色く垂れているのが雄蕊で 紫色が雌蕊です
もりひこ
アレチヌスビトハギの花が咲いています
花が終わった茎の下の方から種が出始めています
もりひこ
11月1日(水)~12月10日(日)まで、京都国立近代美術館にて、「岡本神草の時代」展が開催されます!当館所蔵の《梳髪の女》も展示されます。
岡本神草《梳髪の女》
岡本神草は1894年神戸に生まれ、京都市立絵画専門学校(現在の京都市立芸術大学)で絵を学びました。絵専の卒業制作《口紅》(京都市立芸術大学資料館蔵)は蝋燭の明かりのもとで口紅を塗る舞妓の官能美を描き出した作品で、同作品を土田麦僊や村上華岳、小野竹喬ら若手画家たちの主催する国画創作協会展に出品し、当時注目を集めました。その後も帝展に入選するなどの活躍を見せるものの、1933年、39年の生涯を閉じました。早世ゆえに残された作品が少なく、これまで大きな回顧展が開催されることはなかったように思います。当館の作品も、縦46.9×横51.0ほどの小品ではありますが、神草の残した足取りのひとつとして、「岡本神草の時代」展の展示室を飾らせていただくこととなりました!
《梳髪の女》は身支度中の芸妓を描いた作品です。髪を梳かれながら、首や顎あたりの化粧の具合を手鏡で見ているのでしょうか。珊瑚や貝、花の模様の散った黒い着物、胸元からのぞく赤い襦袢がなんとも官能的です。実際に作品を見ると、鏡や着物の襟には金銀泥(日本画で使う、金や銀の粉末を使った絵の具)を用いています。鏡のもつにぶい輝き、衣装の豪華さを表現しようとしたのでしょう。手鏡を持つ細い指先は、朱の細い線で縁取られています。このわずかに見える朱線が、芸妓の白い指に血が通っているように見せ、よりなまめかしさを見るものに感じさせるのです。当時の日本画としてはけして珍しくない表現ですが、私などはついまじまじと見てしまう点です。ぜひ展覧会でご覧いただければと存じます。
当館の作品が他の神草作品と並んで展示されるのもうれしいですが、私は神草の《口紅》と甲斐庄楠音の《横櫛》※(京都国立近代美術館蔵)が同じ会場で見られることもひそかに楽しみにしています。この、《口紅》と《横櫛》は、第1回国画創作協会で入賞候補になりました。土田麦僊は岡本神草を、村上華岳は甲斐庄楠音を推薦。結局決着がつかず、竹内栖鳳が仲裁に入り、違う作品を入賞作としたのでした…。このことで、当時は大変な話題になったようです。展覧会場では当時の画家たちの活気あふれる活動に思いを馳せたいですね。
※甲斐庄楠音の《横櫛》は同構図でわずかに差異がある作品が何点か描かれており、国画創作協会に出品された《横櫛》は、現在広島県立美術館がご所蔵ですが、京都国立近代美術館ご所蔵の《横櫛》も出品作の雰囲気を濃厚に漂わせています。
長々と説明いたしましたが、詳しくは京都国立近代美術館様のHPにて、素晴らしい作品の画像とともにご覧くださいませ。
「岡本神草の時代」
会場:京都国立近代美術館
開催日:11月1日(水)~12月10日(日)
開館時間:9:30~17:00(ただし金曜・土曜は午後8時まで開館、入館は閉館の30分前まで)
休館日:毎週月曜日
http://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2017/422.html
森下麻衣子