YouTube公開 文化形式としての技法: 蘇州版画における「西洋」の制作について

「蘇州版画の光芒 国際都市に華ひらいた民衆芸術」記念講演会:「中国版画研究の現在」のプログラムのうち、以下の発表がYoutubeに日英中3か国語で公開されたことをお知らせいたします。

【日本語】

文化形式としての技法:
蘇州版画における「西洋」の制作について

賴毓芝
中央研究院

蘇州の版画にヨーロッパの影響があることは、議論の余地のない、よく知られた現象である。しかし、「ヨーロッパさ」の意味や、「西洋」か「泰西」(いずれも西洋を指す)様式とともに、どのように認識、選択、形成、再構築、表現されたかには、まだ議論の余地がある。このような一見自明な疑問に対する直接的な答えは、線遠近法の利用や陰影とモデリング技法の使用などである。これらの回答は真実であるが、ヨーロッパと中国の間の複雑なトランスカルチャー(trans-culturation)のプロセスを無視してはならない。そこで本講演では、「仿泰西筆法」(泰西の筆法を倣う)「仿西洋筆意」(西洋の筆意を倣う)など、いわゆるヨーロッパ様式を直接的に模倣し、または手本にしたことを示す題のある蘇州版画を出発点として、その中におけるヨーロッパさがどのように定義と形成されていたかを分析することにした。さらに、これらの蘇州版画は、ヨーロッパの視覚文化を伝えるもう一つの重要な拠点であった当時の清の宮廷で制作された中西折衷様式の絵画とは、どのように違ったかを解説する。最後に、本講演では、蘇州版画における「西洋」か「泰西」というのは、単なる新しい視覚効果の出現ではなく、「制作」ための新しい技法と提示する。また、その蘇州版画に求められる異国さは、ヨーロッパ憧憬を積極的に探求する重要なメディアである絵画に求められる異国さとは著しく異なったことを明らかにする。

【英語】

Technique as a Cultural Form: Making “Xiyang”
in Suzhou Prints

Yu-chih LAI
Academia Sinica

The European influence on Suzhou prints is an indisputable and wellrecognized phenomenon. But meanings of “European-ness” and how hey along with those of “Xiyang” or “Taixi” (both terms referring to the West) style were perceived, selected, framed, reconstructed, and represented remain up for debate. Immediate answers to this seemingly
self-evident question include the application of a linear perspective, use of shadowing and modeling, etc., and while these answers hold truth, one should not overlook the complex trans-culturation processes between Europe and China. The present paper thus takes Suzhou prints with inscriptions indicating their direct imitation or emulation of a so-called European style, such as “in imitation of the brushwork of Taixi”, “in imitation of the tone of Xiyang”, etc., as a starting point to analyze which characteristics of European-ness were defined and framed within the prints. In addition, how they differed from paintings in the European-Chinese eclectic style produced by the court of the time, another important center of transmitted European visual culture, is expounded. This paper then ultimately argues that it is not merely the manifestation of new visual effects, but the new techniques employed in “making,” that denote the desired foreign-ness in the prints, which is remarkably different from the case of painting which stands as another important medium that actively explores European aspirations.

【中国語】

作为文化形式的技术:苏州版画中的“ 西洋”塑造

赖毓芝
中央研究院

苏州版画中来自欧洲的影响是一个不容置疑的公认现象。然而,有关“欧洲性”的含义以及其与“西洋”或“泰西”(两者均指西方国家)风格如何被感知、选择、建立、重构和表现等问题,则仍有待讨论。对于这类看似不言自明的问题,直接的解答包括线性透视的应用、阴影和立体感的表现等等。然而,虽然这些解答所言不虚,但我们不应忽视欧洲与中国之间复杂的跨文化(trans-culturation)过程。因此,本演讲首先聚焦于苏州版画中一类在标题中指出其直接模仿或参考自当时一般认为的欧洲风格的作品─如以“仿泰西笔法”,“仿西洋笔意”等为题之作,分析这些版画中所定义和建构的欧洲性特征究竟为何。此外,当时的清代宫廷制作了许多兼容欧洲与中国两种风格的绘画,亦为另一个重要的欧洲视觉文化传播中心,本演讲也将论述上述苏州版画与当时宫廷绘画的相异之处。最后,本演讲将提示的是:苏州版画中的“西洋”或“泰西”,不仅仅是一种崭新视觉效果的表现,更是一种应用于“塑造”的新技术,它体现了人们期待版画应具备的异国情调;而绘画作为另一种积极探索对欧洲之向往的重要媒介,其对于异国情调的表现与苏州版画有着非常明显的差异。

さち